自宅出産について
はじめに
お産についての考え方は人それぞれです。価値観もそれぞれです。ですから、病院でうみたいと思う人もいれば、自分の家でうみたいという人もいます。
けれども、「自宅でお産したかったのだけど、お産を手伝ってくれる助産師さんがいなくってあきらめました」「夫婦だけでうむことを考えた」という声を聞き、妊娠・分娩経過に異常がなければ、助産師がお産を取り扱うことができるので、自宅でうみたいという人が、少しでも安心して安全にお産をすることが出来るように、手伝うことができたら...と、サポートを始めました。
また私自身が自宅で家族に見守られて、とてもリラックスして、安心してお産が出来たということも、大きなきっかけとなっています。
自宅出産を選ぶ方の理由は様々です。
上にきょうだいが何人かいて、この子たちを預けてお産で入院することができない
できるだけ、周りの人の影響を受けずに、リラックスして、お産をしたい
前回のお産の進みが速かったため、次は事前に入院しておいたほうが良いと言われたが、それなら、助産師に来てもらう選択もあると思った
病院に行くとどうしても緊張してしまうので、お産の時どうなるか不安
産後ゆったりと家族と一緒に過ごしたい
妊娠中から産後まで、同じ助産師に関わってもらいたい e.t.c.
妊娠中は病院での医師の健診と助産師の健診を受けます。
お産の時は、複数の助産師で関わります。産後は、当日~4 or 5 日目まで毎日訪問をして、お母さんと赤ちゃんの状態のチェック及び必要なケアをします。その後は、1週間後の母子訪問、1ヶ月健診となります。
心配なこと、分からないことは、いつでも電話やメールで相談ができます。
自宅出産という選択
自宅でうみたいという理由は人それぞれですが、一番のメリットはお産する人が一番落ち着く場所であり、助産婦に遠慮せずに行動できる点ではないかと思います。リラックスすることは心も体も解放されるために、お産がスムーズに進みやすくなります。ただ、医療から一番遠い場所であることは忘れてはなりません。
どのようなお産をしたいのか、どうして自宅出産を選んだのか、自宅出産のメリット・デメリットは?etc…。パートナーともよく話し合って、決定していってほしいと思います。
自宅出産ができない方
自宅出産を希望していても、誰でも必ず自宅でうめるというわけではありません。中には、妊娠経過により、病院での出産となることもあるわけです。その為に、日頃からの体づくりと、定期的なcheckをうけておくことは、お産を成功させるためには大切なことです。
自宅出産ができない方は
このような方です。
貧血の強い人
妊娠性高血圧症候群と診断された人
感染症のある人
逆子(さかご)の人
RHマイナスの人(パートナーがマイナスならばOK)
前回帝王切開でお産している人
37週未満の出産、42週以降の出産
推定体重が2500gに満たない場合 など
自宅出産の流れ
妊娠がわかったら・・・
病院での診察
自宅出産をされる場合でも、病院での医師の診察や健診・検査は必要です。
妊娠したかなと思ったら、病院で診察を受け、妊娠の診断を受けます。そして、予定日を決め、妊娠初期の血液検査なども行います。
どこを受診したら良いか分からない方は、受診前にご相談ください。
助産師との相談
自分の妊娠・お産に付き添う人ですから、この人と思う人と巡り会えることが大切です。
妊娠していることがわかって、自宅出産を検討されているということでしたら、助産師に連絡を取り、お産の相談をします。体調がすぐれなかったり、初期の検査で問題がなければ相談してみるという方もいらっしゃいますので、ご自身の良いタイミングでご相談下さい。自宅での出産を希望された理由について、自宅出産が出来るか、搬送や転院となる場合について、お産までの流れ、費用など、詳しくお話させて頂きます。
妊娠健診
妊婦健診では、尿検査、血圧測定、体重測定、お腹の触診、計測(子宮底と腹囲)、赤ちゃんの心音の聴取をします。その他、赤ちゃんの体勢、お腹の張り、身体の冷え、むくみ、腰痛などの様子なども確認します。それを元に、次の健診までに気を付けた方がよいこと、続けるとよいことなどをアドバイスします。
私の場合は、妊婦健診は妊婦さんのご自宅でも行っています。それは、できるだけ、妊婦さんの普段の様子(生活の状況)を見せていただきたいこと、私がお産する場所に慣れておきたいためです。家庭にはいることで、自然と食生活も見えてきますし、服装や好みも見えてきます。それに併せて、必要なアドバイスをしていけたらいいと思っています。
妊婦健診の流れ
初期から30週までは、近医もしくは嘱託医での健診を受けていただき、32週以降は、連携医療機関で健診を受けていただくことになります。
妊娠の時期 | 病院・クリニック | 助産師 |
5~6週 | 妊娠診断 診察(2~3回) | |
12週 | 妊婦健診 初期検査 | お産の相談 |
16週 | 妊婦健診 結果受け取る | (妊婦健診) |
20週 | 妊婦健診 中期検査 | |
24週 | 妊婦健診 | |
26週 | 妊婦健診(血糖値検査) | |
28週 | 妊婦健診 | |
30週 | 妊婦健診 後期検査(貧血) | |
31週 | 検査結果と紹介状を受け取る | |
32週 | 連携医療機関 初診妊婦健診 | |
34週 | 妊婦健診 | |
36週 | 妊婦健診 膣分泌培養検査(GBS) | |
37週 | GBS検査結果をもらいに行く | 妊婦健診(サポート助産師同行健診) |
38週 | 妊婦健診 | |
39週 | 妊婦健診 | |
40週 | 妊婦健診 NST | 妊婦健診 |
41週 | 妊婦健診 | 妊婦健診 |
妊娠健診(37週以降)
37週以降は出産の時に手伝いに来てもらう、もう1人の助産師も一緒に健診をします。
自宅や助産院での出産の時には、必ず、2人以上の助産師が立ち会う事にしています。それは、ケアを十分に行えると言うことと併せて、何か急に起こったときに対応できるようにするためです。事前にお会いしておくことで、お産の時の不安解消にもつながります。
できれば、ご主人やお子さんとも出産までに一回以上はお会いできるといいと考えています。(健診の時、毎回ご一緒のかたもいらしゃいます)
36~37週の健診では、お産の時の物品の確認、お産セットの確認(こちらから持参いたします。)、私たちが使う物品の確認、併せて、洗面所や台所などの確認などさせていただきます。基本的には、妊娠37週0日から41週6日までが、正期産と呼ばれ、この5週間の間でしたら自宅での出産が可能となります。
お産の兆候がありましたら連絡をいただき、その後も連絡を取りつつ、お産の進みにあわせて伺います。
出産
出産が終わった後は、2時間ほど、お二人の様子を見て、問題がないようでしたら帰宅します。出産後は4~5日毎日訪問します。訪問以外の時間でも、何か気になることや、分からないことがあるときは、電話やメールで連絡をしていただき、必要がある時は伺います。
産後訪問
産後の訪問が終わった後、一週間後位に一度訪問をします。
おっぱいの飲みや体重、黄疸、お母さんの産後の体調、母乳の出具合などを確認します。一ヶ月健診は自宅に伺ってお二人の様子を診せていただきます。
オープンシステムのご案内
助産院や自宅で出産をしたいと思ったけど、やっぱり心配…、でも、妊娠中からずっと同じ助産師に診てもらいながら、お産の時も産後も手伝って欲しい…
助産院オープンシステムとは、助産院に通院されている妊婦さんに対し、助産所の助産師と病院が協力し、出産、産後のケアを行うものです。出産の時は信頼する開業助産師が付き添い、寄り添うことが妊婦さんをリラックスさせて、異常を遠ざけ、病院での安全な出産に導きます。そして、文字通り病院施設を開放して出産の場を提供していただき、医師・助産師がそれぞれの職能を発揮し、「産婦さんと開業助産師」をサポートします。
対応施設
日本赤十字社 医療センター(渋谷区)
東京都渋谷区広尾4-1-22
03-3400-1311
日本赤十字社 葛飾赤十字産院(葛飾区)
東京都葛飾区立石5-11-12
03-3693-5211
お産された方、ご利用者の声
Mさん
自宅出産をしたいと思って、助産師さんを探しました。
何人かの助産師さんとお話をして、一番ほっとする感じのする土屋さんにお願いすることにしました。
妊婦健診はうちまで来てもらうことも出来るので、上の子を誰かに預けたり、待ち時間をどうするかとか考えなくても良いので助かりました。妊娠のことだけじゃなくて、産後のことや、上の子のことも相談できたり、お産のことを夫にも一緒に聞いてもらったりして、準備を手伝ってもらうこともできて、家族で一緒にお産に臨むことができて良かったです。
Yちゃん
乳腺炎でお世話になりました。里帰り先でお世話になった助産師さんから、紹介してもらって、卒乳までお世話になりました。
おっぱいのことだけではなく、子供の皮膚のトラブルのことや食事のこと、遊び方などいろいろなことを教えてもらうことができて、おっぱいのトラブルは嫌でしたが、行くのが楽しみでした。また、次の子の時もお世話になりたいです。
Kくん
入院中に赤ちゃんの黄疸が高めだったのと、体重の増えが少なかったので、退院後、また病院に来るか、近くで見てもらえる助産師さんにお願いするかということで、うちの近くの麻の実助産所を紹介してもらいました。
病院と連携しているところだということで安心して見てもらえました。おっぱいの張りが強く、赤ちゃんがうまく飲むことができなかったのですが、マッサージの方法を教えてもらって、自分でもするようにしていたら、おっぱいだけでも体重が十分に増えるようになって、本当に助かりました。